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院長・川村正英の


足関節靭帯損傷後のスポーツ復帰 2013年8月6日

 中学生や高校生が運動部のクラブ活動で足をひねって足関節の靱帯を損傷することはよくあります。特に多いのは外くるぶしのところにある外側側副靱帯の損傷です。この際に試合が近いからと無理をして競技を継続したいという患者さんが少なくありませんし、実際に試合に出場するケースもあろうかと思います。骨折であれば諦めもつくと思いますが、靱帯であればできるのではないかと考えてのことと思います。
 足関節の外側側副靱帯損傷は重症例では手術を行うこともありますが、手術が不要の場合も損傷の程度によりギプスや装具固定を行います。適切に固定が行われたら一定の期間で損傷部は修復されてきますが、重症度に応じて1カ月前後の固定が必要になります。患部に負荷のかからないトレーニングは継続して構いませんが、競技復帰は十分な期間の固定とリハビリの後に再開していくのが通常です。靱帯の修復に要する期間を待てずに運動を再開して靱帯に無理な力がかかると、治癒に長期間を要したり、不良な修復状態となり、緩い関節を生じたりします。足関節が緩くなるとちょっとしたことで再び足部をひねりやすくなり、これを繰り返すと軟骨がすり減って関節の変形へと進展する場合もあります。
 成長期のスポーツ活動は体を鍛えながら精神的にも成長していくことが期待できます。その競技に懸ける思いは個人個人により違うと思いますが、結果を求めるあまり無理をして体を痛めると将来のスポーツ活動に悪影響を及ぼしかねません。テーピングさえしておけば大丈夫というものではありませんので、患部の痛みが軽快し機能的にも十分回復してからの競技復帰が無難なやり方であると考えます。
 
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