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変形性膝関節症における関節可動域制限 2009年10月5日

 変形性膝関節症は膝の軟骨がすり減ってその周辺に骨棘という余分な骨ができて痛みや腫れを来す疾患ですが、変形が進行すると関節の動きが悪くなってきます。膝の伸びが悪くなると精いっぱい伸ばしたつもりでも膝の後ろが床につかなくなり、曲がりが悪くなると正座ができない、しゃがみ込みができないという状態になります。これを膝の関節可動域制限といいます。膝に多量の水がたまったときには風船がパンパンに膨れるように膝関節が腫れた状態となり伸びや曲がりが悪くなりますが、変形が少なくて関節自体の硬さがまだない段階では水を抜いてやると関節の動きはよくなります。一方、変形性膝関節症が進行すると関節包という関節の袋や靱帯は肥厚して従来の柔軟性を失い、関節の動きが徐々に制限されてきます。関節を通る筋肉や腱の短縮や骨の変形も動きの制限の原因となります。
 薬や注射、リハビリで治療をして痛みや腫れは軽減したのだけれども、まだ正座ができないという患者さんを診察することがあります。正座は膝の曲がりの制限がまったくなくて、深く曲げた膝に体の重みをかけても大丈夫でないとできませんので、変形性膝関節症が進行して関節の動きの制限が生じた場合に再び正座ができるようになるのは容易ではありません。関節の動きを維持しさらに改善するためにはリハビリを行いますが、膝を曲げようとして無理に正座を試みると腫れたり痛んだりする場合もありますので、強引な訓練は避けるべきです。変形が進んでしまう前の治療が重要ですので、変形性膝関節症になった場合は整形外科専門医への受診をお勧めします。

 
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