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膝の関節内注射 2008年2月4日

 変形性膝関節症や関節リウマチの膝に対する治療として関節内に注射をする場合があります。注入する薬剤としてはヒアルロン酸とステロイドホルモン剤があり、局所麻酔剤を混ぜて使用する場合もあります。
 ヒアルロン酸には潤滑作用、疼痛抑制作用があり、動物実験では軟骨の変性抑制作用や損傷軟骨の修復作用があると認められています。軟骨があまり残っていない高度変形膝よりも初期の変形性膝関節症ではより大きい効果が期待できます。比較的高価な薬剤ですので使用には保険上の制約があります。一方、ステロイドホルモン剤は短期間に頻回に注入すると関節軟骨や骨に悪影響を及ぼして変形を生じてくることがありますが、使い方を誤らなければ関節炎を鎮める作用に優れた有用な薬剤です。
 変形性膝関節症では膝の内側が痛い患者さんが多いのですが、注射は外側から打つのが一般的です。関節内注射の場合は関節包という関節の袋の中に薬液を注入しますので、外側から打っても痛い内側まで薬液は到達するのでこの点は心配ありません。関節の水が多くたまっている場合は、まず水を抜いて注射器の針を刺したままにしておいて引き続き薬液を注入します。
 関節内注射の合併症としてごくまれですが、注射により細菌が関節内に入ることがあります。糖尿病や透析中の患者さん、高齢者などは細菌感染に弱いので厳重な注意が必要です。湿布を張っている部位では皮膚表面の細菌が増えていますので、注射をする前に十分清潔にするような配慮も必要です。また、注射後に膝の痛みが強くなる場合もありますが、多くは関節内滑膜の刺激症状と思われ、一過性の痛みであればあまり心配はいりません。
変形性膝関節症やリウマチの膝ではリハビリや薬とともに関節内注射も有用な治療法です。

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