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院長・川村正英の


痛風の診断 2015年12月8日

 痛風発作が起こる部位は足の親指の付け根が有名ですが、下肢では親指以外の足の指や足の甲、足首、踵のアキレス腱付着部、膝関節などいろんな部位に起こり得ます。また、肘や手首など上肢に発症する場合もあります。これは血液中の尿酸値が高くなり、溶けきれなくなった尿酸が関節および関節周囲に結晶として析出し炎症を起こすものです。高尿酸血症は男性に多く、その原因はさまざまで、腎臓から尿酸を排出する機能の低下、暴飲・暴食、肥満、激しい運動などが考えられています。耳介などに痛風結節が形成される場合や尿路結石が腎臓に生じて腎機能が悪化してくることもあります。
 足の親指に起こった痛風の典型的な強い発作時には腫れや赤み、熱感などの症状で痛風と診断しやすいですが、その他の部位に生じた軽い発作で腫れも強くない場合は、痛風かどうか分かりにくいケースが少なくありません。膝に発作が生じ痛風性膝関節炎となれば関節液中に尿酸結晶が証明されますので、痛風の診断が確定します。一方、関節液が採取できない部位では、血液検査で尿酸値や炎症反応を調べ、痛風と診断する根拠にします。
 ただし、血液中の尿酸値は発作時には元の値から低下する場合がありますので、発作時に尿酸値が正常範囲だからといって痛風発作であることを否定できないという点は注意が必要です。その場合には痛風発作の消退後に血液検査の再検が必要になります。
 けがもしていないのに足部などに急な痛みが生じた場合、痛風はその原因として多い疾患であると思います。手足に急性の痛みを生じた場合は整形外科受診をお勧めします。
 
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