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院長・川村正英の


小児の骨折の特徴 2015年4月7日

 転倒して手足の骨折を受傷する子どもさんが多く見られますが、小児の骨折は成人と比べて異なる特徴が幾つかあります。まず、小児の骨は弾力性が高く骨の周りにある骨膜も厚いため、骨の連続性が一部残った不全骨折が起こりやすいという特性があります。長い円筒状の骨がこのように折れた場合、若木を折り曲げたときのように、つながったままで曲がった状態になるので「若木骨折」と呼ばれます。また、小児の骨には成長するための軟骨がありますが、この軟骨の部分に骨折を生じる場合があります。軟骨自体はエックス線に写らず、軟骨の損傷が重症であるとその骨の成長障害を起こす場合があります。
 骨折の治りに関しては、小児の骨の厚い骨膜が骨折治癒に必要な仮骨を旺盛に形成するため、成人と比べると通常早期に骨癒合が得られます。また、骨折部に多少のずれがあっても経年的に自然と矯正されやすいという特徴もあります。ただし、ねじれはほとんど矯正されませんし、関節に近い部分に生じた骨折のずれも変形が残りやすいという点は注意が必要です。骨折後の機能回復については、ギプスなどによる骨折部の固定を行った後、関節の動きの回復が小児では良好なことが多いです。ギプス除去後にリハビリを必要としないケースが少なくありません。
 以上のように、小児の骨折においては骨癒合がよく成長に伴い変形の矯正も期待できますので、成人と比べると手術を要する割合は低いといえます。しかし、軟骨はエックス線に写らないので骨折型の理解が難しい場合がありますし、骨折の部位や折れ方によっては治療が容易でない骨折もあります。小児が骨折をした場合は整形外科受診をお勧めします。
 
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