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関節リウマチと骨粗鬆症 2006年1月5日

 関節リウマチでは骨粗鬆症を来すことが知られています。その原因としては炎症のある関節周囲に起こる骨萎縮と痛みによる活動性低下の影響が挙げられます。リウマチの治療に使うステロイドホルモン剤も一日の使用量が増えると骨粗鬆症を進行させます。高齢女性のリウマチ患者では閉経後骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症にリウマチ性骨粗鬆症が加わりますます骨が弱くなって骨折を起こしやすくなります。さらに、リウマチの関節変形や骨折を起こして歩行不能になった場合などでは短期間に骨粗鬆症が進行します。
  骨粗鬆症が高度になると、転倒や打撲などの明らかな受傷機転がない非外傷性の骨折を生じる場合があります。私は以前に関連病院におけるリウマチ患者の大腿骨頚部骨折(またの付け根の骨折)について調査しましたが、その結果1/4の割合(64例中16例)で転倒などの外傷なしに骨折を生じておりました。その場合、転びもしないのに何となく股関節や大腿が痛くなってきます。骨折部のずれも当初は大きくないので歩行可能な場合もあり、患者さんも主治医もリウマチの股関節炎による痛みと考え、骨折の診断も遅れがちでした。
  ひとたび骨折が起こってしまうと、骨粗鬆症では骨折部を接合する手術が容易ではなく、骨折後に手足の機能が低下する人も少なくありません。従って、リウマチ患者では骨折を起こさないようにするための骨粗鬆症対策も手足の機能維持のために極めて重要であるということになります。関節痛による活動性の低下が骨粗鬆症の原因の一つですので、適切なリウマチ薬により関節の痛みと変形進行を抑えるとともに適度な運動を行います。骨粗鬆症の有無は定期的に検査し、骨粗鬆症になったら速やかに薬による治療を始めた方がよいでしょう。最近では骨粗鬆症の良いお薬もありますので主治医にご相談ください。

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