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安静の重要性 2004年4月12日

 整形外科で行う治療の手段として安静があります。一般に手足や背骨が急に痛くなったときには安静が必要なことが多いのです。
 例えば、急に腰が痛くなったときには安静にすることです。原因がヘルニアであれ、腰椎の圧迫骨折であれ、急性腰痛には安静臥床が基本で、立ったり座ったりすることにより腰にかかる負担を除いてやる必要があります。頚椎椎間板ヘルニアで頚部(首)が急に痛くなったり手のしびれや痛みが生じたときも、安静に横になって頚椎にかかる頭部の重みを取り除いてやります。変形性膝関節症で膝の痛みが急に悪化したときには歩行を控えて膝を安静にします。五十肩が起こった急性期で痛みが強いときには、肩を動かさないようにして炎症を鎮めるようにします。痛みがある程度軽減してから関節の運動を開始します。このように、手足や脊椎の疾患の急性期には痛むような動作をさけて、痛みが和らぐ姿勢で安静にした方が治りやすくなります。
 整形外科ではこのような場合、状態に応じて注射や薬で治療し、安静にするようにお話しすることが多いと思います。しかし、安静では物足りず、ご自分の判断でマッサージや徒手療法を早期より受けられる患者さんもいるようです。その結果さらに痛みが強くなったり、病状をこじらせて進行させてしまうこともあります。一方、関節の安静が長くなると筋力低下や関節可動域の制限が生じますし、長期間寝ると循環機能の低下や高齢者では骨粗しょう症の進行も起こるということが知られています。従って、独自に判断せずに、整形外科専門医の指示のもとで安静・治療、その後のリハビリテーションを行った方がよろしいと思います。手足、背骨といった運動器疾患の急性期において安静は当たり前のことのように思うかもしれませんが、重要で欠かすことのできない治療法であることを理解していただきたいと思います。


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