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湿布の使い方 2011年5月2日

 腰や膝の痛みに対して湿布を使いますが、湿布に関する疑問をお持ちの方も少なくないことと思います。
 【消炎鎮痛効果】病院や診療所で処方される湿布には成分として消炎鎮痛剤が入っており、これが経皮的に吸収されて患部に効果を発揮します。消炎鎮痛剤を内服した場合に比べ、湿布を貼った部位の筋肉や腱鞘では消炎鎮痛剤の濃度が高く、血漿中の濃度はむしろ低いという実験結果が得られています。
 【パップ剤とテープ剤】湿布は白くて厚いパップ剤と肌色や茶色で薄めのテープ剤に分けられます。テープ剤の方が消炎鎮痛剤の経皮吸収に優れ、貼り付きが良く剥がれにくいものが多いようです。一方、パップ剤は冷感刺激作用のあるものが多く、急性期の炎症を来した患部によい適応となります。
 【冷湿布と温湿布】「冷湿布と温湿布のどちらが良いでしょうか?」という質問をよく受けます。温湿布にはトウガラシエキスなどの温感刺激薬が含まれており、貼り付けると皮膚温は1〜2度上昇しますが、その内部にある筋肉の温度は変化しないという実験データがあります。慢性の腰痛や肩凝りなどの場合は患部を温めた方が良いことが多いですが、温湿布を使用しても筋肉のレベルまで温まることはあまり期待できないようです。しかし、冬場などは貼付時の温感が気持ちが良いと温湿布を重宝する人も少なくありません。
 【副作用など】「かぶれない湿布をください」と言われることがありますが、「この湿布は誰が使っても一切かぶれません、副作用を生じません」というものはありません。かぶれにくいものでも人によっては皮膚炎を生じます。疾患によって処方できる湿布の枚数にも制限がありますので、患部の状態により湿布も適切に使い分けることが重要です。
 
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